第336号 2014.3.31 防災キャラバン in 上島町を開催しました/中米ホンジュラスの斜面災害とJICAボランティア活動 その5
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愛媛大学 防災情報研究センター
防災情報研究センターニュース
第336号 2014.3.31
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○今回のコンテンツ
<ご報告>防災キャラバン in 上島町を開催しました
<ご報告>中米ホンジュラスの斜面災害とJICAボランティア活動 その5
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○<ご報告>防災キャラバン in 上島町を開催しました
3月30日(日)13時50分~上島町せとうち交流館多目的ホールにおいて、上島町と共
催による防災キャラバンを開催し、一般市民ら約180名の参加がありました。多数のご
参加をいただき、感謝申し上げます。
開催に先立ち、愛媛大学防災情報研究センター高橋治郎副センター長及び上村俊之上
島町長から多数の参加をいただき、防災に対する関心が高いことは、大変心強く思いま
す。もし災害が発生しても、一人の犠牲者を出さないような備えをしていただきたいと
の挨拶がありました。
引き続き、愛媛大学防災情報研究センター高橋治郎副センター長から「南海トラフ巨
大地震の発生メカニズム」と題して、過去の災害記録及び地震の発生メカニズムについ
ての解説があり、今後発生するかもしれない地震が起きたとしても、上島町においては、
安心・安全な町づくりを継続して進めてほしいとの話がありました。また、愛媛大学防
災情報研究センター二神透准教授から「愛媛県の地震被害想定と上島町の減災について」
と題した講演では、上島町で想定される災害としては、南海トラフ巨大地震、豪雨災害、
強風、高潮などがあげられる。対策としては、家具の固定を含めた耐震補強が重要であ
ること、津波が30cm以上予想される地域については、慌てずに高いところに避難する
こと、液状化しやすい場所では、建物が倒れるか、傾きやすいことから、避難が大切で
ある。自然災害に対する備えと併せて日頃から地域における訓練の重要性について、詳
細な説明がありました。意見交換会では、一般市民の皆さまから(津波や自然災害など)
多数のご質問があるなど、活発な防災キャラバンとなりました。
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○<ご報告>中米ホンジュラスの斜面災害とJICAボランティア活動 その5
その5:斜面災害と地質学教育の課題
私はUPIにいた2011年11月から2013年5月の間で、2012年7~9月の3箇月間は地質学の
授業を行い、他の期間は地すべり調査及び報告書作成にあてました。また、2013年3月に
中南米で初めて開催される「中米・カリブ地すべり学会」の準備ならびに講演発表を行
いました。学術振興会でホンジュラス防災の活動をされていた先生方の協力も得られ成
功裏に終わりました。
2013年2月に首都の治安悪化のため、同年5月に首都から20kmほど東へ離れたZamorano
(サモラノと云う1942年創立の農科大学: Escuela Agricola Panamericana)に移りまし
た(図5.1)。ここでは、カウンターパートDr. Luis Caballeroの水理学授業の中で、基
礎的な地質学、フィールドでの地すべり授業を数回行いました(図5.2)。二つの大学で
地質の教育に携わることができました。
ホンジュラスの地質学教育の問題点は、大学の教育現場に常勤の地質の教師がいないこ
とです。そして、赴任当初聞いた話では、地質学に従事する人(われわれは地質屋あるい
は地質家と呼ぶ)が国内に8人しか居ないことです。さらに、1/50,000地質図が国土の10
%しか整備されていないことも問題点として挙げられます。
現況では、テグシガルパにある2大学が地質学科を創設する申請を出しています。この
2大学は、国立のホンジュラス自治大学(UNAH)と私立の工科大学(UPI:最初SV活動をして
いた大学)です。そのうち、UPIには2年制の地質学専攻課があり、例えば4年制の土木工学
科に在籍している学生も並行してこのコースを選べます。少しでも地質学を学ぶ学生が増
えることは良い事です。ただし、国内には一般地質学の教科書はなく、今後、ホンジュラ
スの地質情報をも取り入れた地質学の基本的な教科書作成が望まれます。SV活動中は、任
地のUPIおよびZamoranoの各大学、JICAホンジュラス事務所、JSPS関係者、ベリンチェ工
事現場の方々及びその他関係者の方々には大変お世話になりました。連載を終えるにあた
り、ここに深くお礼申し上げます。
図5.1、5.2
こちら
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[2014年03月31日]