<ご報告>松山防災リーダー育成センター(防災情報研究センター)と松山市の取組みが、第11回ジャパン・レリジエンス・アワード内閣総理大臣賞を受賞しました
本センターが松山市と取り組んでいる「公徳心溢れる防災士 1 万人を核とした 50 万都市の安全安心なまちづくりへの挑戦」が、「第 11 回ジャパン・レジリエンス・アワード(強靱化大賞)」の内閣総理大臣賞を受賞しました。この賞は一般社団法人レジリエンスジャパン推進協議会によるもので、全国で展開されている次世代に向けたレジリエンス社会構築への取り組みを発掘・評価・表彰してきているものです。
レリジエンスに関わる各種の取組みや技術開発成果に関して全国の自治体や企業などから90件の応募がある中で、内閣総理大臣賞という1件だけが選定されるトップの評価を頂いたことは嬉しい限りです。
表彰式は2025年4月22日に東京・イイノホールで開催されました。表彰式では、野志松山市長の挨拶に続いて、本センターの中島特定研究員が取組みの概要を紹介しました。1万人の防災士養成とフォローアップ研修、年間延べ10万人を対象とした地域防災教育の展開、小学5年生から高校生を対象としたジュニア防災リーダークラブを通しての継続教育、松山市立全中学1年生を対象としたマイ・タイムライン講座の実施など、極めて意欲的で継続的な防災活動が高く評価されての受賞となりました。
市区町村でトップの実績を誇る1万人を超える防災士の養成は、松山市が平成17年度から全額公費負担で開始しました。平成26年度から愛媛大学防災情報研究センターと連携することにより年間500名もの防災士の養成が可能となりました。さらに平成27年度からは愛媛大学の単位互換制度を活用して「環境防災学」講座を開講し、毎年200名を超える大学生が防災士を取得しています。
ところで、防災士資格を取得するだけでは、実践力が十分ではありません。そこで、1万人を超える防災士の更なるスキルアップと意欲の向上を目指して、年間14回に上るフォローアップ研修を開催しています。この取組みの成果は素晴らしく、防災士の意欲が向上し、人口50万人の松山市の中で実に年間10万人にも上る方が各種の防災活動に参加してくれている実績となって実っています。
また、学校防災教育にも力を入れています。平成30年豪雨災害の教訓から、家庭や学校などで 我が家の防災行動計画であるマイ・タイムラインの作成を通じて、風水害から命を守る「松山逃げ遅れゼロプロジェクト」を展開しています。松山市立の全中学1年生約4,000名が、授業でマイ・タイムラインを作成します。マイ・タイムラインは、学校のタブレットを使ってWeb上で作成しますが、作ったマイ・タイムラインは、家に持ち帰り保護者のスマートフォンに取り込めるようになっています。学校での学びを家庭の防災対策につなげる仕組みを作っています。
さらに、この取り組みは、「とどけ!命のはがきプロジェクト」を通して家族愛の強化にもつなげています。生徒が授業を通じて学んだ防災の重要性を、自分が最も大切に思う保護者などに「いのちのはがき」として送るプロジェクトです。このハガキを受け取った保護者などは、子供からの愛情あふれる文面に接して防災への意欲を高めることは当然のこととして、家族愛を一層、強めていきます。家族愛と地域愛の強化に実っていくものだと確信しています。
ジュニア防災リーダークラブは、小学5年生から高校生が松山河川国道事務所や気象台での体験学習、また防災キャンプの実施など、年間を通して様々な防災学習の実施を通して、防災への知識や実践力を深めます。参加した児童・生徒は年代を超えた児童・生徒と交わることにより協調性を養い、地域の自主防災会の方々や行政の専門家などからの指導や討議などを通して自主性や責任意識を涵養していきます。また、防災学習の場での計画づくりや実践での様々な対応を通して応用力を学んでいきます。最後に、防災チャレンジ試験にトライし、また報告会での発表を通して、継続的な学習態度や自律的な人格面を磨いていきます。1年間を通したこれらの取組みで、知識面だけでなく、人間力も見違えるほどに成長していきます。これを何年も続ければ立派な若者として成長し、高校を卒業後は、有為な人材として、より高次の学びの場を目指して、また立派な社会人として巣立っていきます。実際、何人もの卒業生が学生のクラブである「防災リーダークラブ」に入会して活動しています。
ジュニア防災リーダークラブには、毎年200名を超える児童・生徒が登録しています。子供たちは自らが参加しているため学習の面でもその活動が生かされています。なお、松山市では、松山市立中学校の生徒をジュニア防災リーダークラブ員として登録し、中学校で「マイ・タイムライン講座」や「とどけ!命のハガキプロジェクト」などの防災授業を精力的に展開しています。優秀な成績を収めた生徒には、松山市長による表彰制度も設けています。
松山防災リーダー育成センターでは、「小学生から高齢者まで、全ての世代に防災教育」を目標に掲げ実践しています。その防災教育のあらゆる場面で、地域の防災士、学校教員の防災士、大学生の防災士など、公共の利益のために進んで奉仕しようと思う防災士が、そこにはいます。
松山防災リーダー育成センターでは、大規模災害の被害を最小限に抑え、速やかな復旧・復興につなげられるよう、これからも公徳心あふれる防災士の方々と、未来の防災リーダーを育成しながら、強くしなやかな、災害につよいまちづくりに取り組んでまいります。今後とも全国的に実施されている各種の防災教育をリードする活動を展開してまいります。何かとご支援いただければ幸いです。
[2025年04月30日]